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2018.05.18(Fri)

視線の行く先

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焼成のときにくっついた口元の黒い灰が つけぼくろのようで
輪郭と顔の描きの古風さもあいまって
子供らしいふっくらフェイスなのに 不思議な威厳を感じさせる
レスラー風のオールビスクドール

お人形の修理の本では スリープアイを作るとき
まず視線を合わせてから 左右の目を橋梁に固定しますが
この子たちが大量生産されていた制作当時は
両目とおもりが一体になった T字形の部品が
専門の部品工場で製造されて 人形工場に納品されていました

それを 形の合う人形の頭にセットしていたのですが
感覚にも個人差があるので この人形のように
左右の視点が一致しなかったり 真正面を見ていなかったりして
全然ひとの話を聞いていない感じになる子もいます

しっかり真正面を見て 誠実な表情をしているお人形たちの中で
一人 こうして心ここにあらずな子を見ると
おおらかに作られていた時代の いろんな意味の自由さが感じられます

工場生産の流れ作業が作り出した 偶然の個性も
アンティークドールの魅力のひとつです
13:11  |  グラスアイ  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑
2016.12.23(Fri)

グラデーションアイズ

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ペーパーウェイトグラスアイに見られる虹彩の
きらきらと星が散って輝くような
スパイラルとかモヤモヤとかのレース模様は
柄入りのガラス棒から作り出されます
しかしまだバーナーの温度が低く
火力も安定していない時代
微妙な温度調整が必要なガラス細工は
至難の業だったことでしょう

ドイツの工場跡地から発掘される
作りそこねのグラスアイの虹彩模様は
融けすぎて流れていたり 色が混じってしまったり
見ているだけで 大変そうという感じが伝わります

我が家の1号テートジュモーは
虹彩にレース模様がなく グラデーションになっています
小さな虹彩は 細いガラス棒から作られるので
目を作ろうとしたらすぐに冷えてしまったり
冷えないように温めすぎたら溶けて模様が流れたり
ものすごく難易度が高いのだろうと思います
しかし 後にこの小さなサイズでも
レース模様の虹彩が作られるようになったので
きらきらのお目目を人形に入れようという
ガラス職人さんの執念の勝利です

その数年前だと7~9号サイズでも
レース模様の目が作れなかったので
わずかのうちに どんどん腕を磨いたようです

模様の無いグラデーションの虹彩には
レース模様の瞳のような
まばゆい閃光のようなきらめきはありません
けれどもグラデーションの効果によって
真珠か艶消しのメタルのような不思議な質感があり
華やかにきらきらとは光りませんが
冬至の冷たく澄みきった空気の中 光るエルサレムの星のように
凛と揺るがない まっすぐな光を帯びています
02:56  |  グラスアイ  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑
2016.06.06(Mon)

曇りガラスの瞳

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ワルサー&ゾーンは1900年にできた
ドイツの後発の 玩具人形用の磁器工場
衣装も同じ工場で作っています
そのため ビスクの頭で布の服を着た鉄棒人形といった
様々な素材を組み合わせた玩具を多く作っていました

ワルサー社のグーグリーは
典型的なウォーターメロンマウスとは違った
引き結んだ口もとが 高い人気を誇りますが
小さな工房で数が無く 玩具人形なので取り扱いも荒く
たいへんレアな人形のひとつとなっています

この子の右の目は曇っています
スリープアイの子にときどき見られる症状で
目玉とアイホールのすきまが狭く
なおかつ頻繁に遊ばれていた子は
目玉の表面がアイホールでこすれて
すりガラスのように曇ってしまうのです
毎日 布団に寝かされたり起こされたりして
いっぱい遊んでもらっていたのでしょう

永遠の命を持つお人形は
遊んでもらった時間だけ 歳をとっていくのでしょう
新しい景色をうつさなくなった曇った目には
遠い日の記憶が 上書き禁止で
たいせつに刻まれているように思えます
21:30  |  グラスアイ  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑
2016.05.31(Tue)

真っ青な目

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ビスクドールには大きく分けて 青目と茶目があります
手前のベビーの 少し灰色が混じった
水色寄りのブルーグレーが 一般的な青目の色で
肌の朱色がかった肌色と色のバランスがとられていますが
たまに後ろのベビーのような 真っ青な目の子がいます

19世紀のフランスの人形にもたまに すごい青色の目の子がいます
特別注文かと思っていましたが そうではなく
昔はバーナーの温度が一定していなかったので
ガラスの溶融温度によって 予定していた色と変わる場合があり
個体差の範疇としてそのまま合格させていたのだそう

道具が進化し品質が一定した20世紀のベビー人形には
目の色の個体差はほとんど見られませんが
それでもたまにこんなふうに 目の色が違う子が出ます
そういう個体差に会えるのも
アンティークドールコレクションの楽しみのひとつです

なおオールビスクの小さなミニョネットには
真っ青な目の子がよく見られますが
こちらは個体差ではなく
目が小さくて灰青色では目立たないため
もともと鮮やかな青として指定されているようです
09:32  |  グラスアイ  |  トラックバック(0)  |  コメント(7)  |  EDIT  |  Top↑
2016.04.10(Sun)

コンポジションベビーのスリープアイ

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ドイツベビーといえば精巧なスリープアイ
ガラス工場で作られた吹きガラスの目玉に
針金と鉛のおもりをつなぎ練り物で固めた目の部品は
国内のビスクドール工場に卸されるのはもちろんのこと
そのまま修理用としてアメリカに輸出されてもいました

いっぽう全てをアメリカで作られたコンポジションベビーは
ブリキの上にプリントされた目です

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スリープアイの構造も 吹きガラスの目とはずいぶん違います
ビスクと違って 金具を差し込むことができること
目をセットした後で後頭部を貼り合わせられることで
かなり製造難易度が低そうな設計です
狭い首の間から石膏をスプーンで流し込む
従来のセット方法とちがって
目が動かない・動かなくなったという
動作不良が起こる余地もありません

私が1930年前後の母親だったら
子供に気軽に買い与えるなら こちらを選ぶかな~
ビスクドールのほうが目がキラキラして綺麗ですが
割れたら子供が怪我をするし 泣かれるし
きっとビスクドールの時代は
そうやって終わって行ったんだろうなあ などと
この頑丈そうな金属部品を見ながら 考えていました
23:19  |  グラスアイ  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑
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