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2020.06.21(Sun)

ビスクドールの梱包

さくら様のお問い合わせ内容について
コメント欄でのお返事が長くなってしまったので
こちらにまとめます

輸送時のビスクドールの梱包について ですが
ライフスタイルが変わった などで
お人形を少し長い期間 眠り姫にさせておかないと
いけないときにも応用できます
(私の手元にいるピンテル&ゴットシャルクは
1934年に頭の中に新聞紙をつめられたまま
2007年ごろ私のもとにくるまで
ずーっとそのまま保管されていました)
なお くれぐれも自己責任でお願いします

梱包にはそれぞれ意味があります
そこをまちがえると かえって壊れてしまうので
ご注意ください

頭の中のつめもの
これは目を固定している石膏は
湿気などで数十年ぐらいで風化してくるため
輸送の衝撃で石膏が落ちる危険があるので
それをとめるためにつめるものです

だから 石膏をささえればそれで良いので
私はぬいぐるみなどに使う 化繊綿をつめています
輸送にかぎらず 手元にいる人形はみんな
目を守るため 化繊綿をつめています

海外から購入した時に一番困ったのは
新聞紙やプチプチシートを
ぎゅうぎゅうにつめて来られるものです
これは意味がないだけでなく
引っぱり出すときに あるいはつめたときに
石膏や頭の中の機構が壊れてしまいます
またラインがあれば 広がってしまいます

上のピンテル&ゴットシャルクの場合
1934年に彼女の腕を修理して ヘッドに新聞紙を入れた人形屋は
よくもんでやわらかくした新聞紙を ふわっとまるめたものを
ヘッドの中にいっぱいになるよう詰めていました
ほどよく弾力のある やわらかいクッションとなって
彼女の大きなガラスの目を守ってくれていました

ヘッドの梱包
昔は紙おむつ 今はペットシートが定番です
個人的にはプチプチシートを直接
ぐるぐるまきにしてもいいかもと思います

いずれにせよ 目が出っ張っているので そのまま梱包すると
目に圧力がかかって 割れたり落ちたりします
目の上に脱脂綿をぶあつく載せて サージカルテープでつけて
アイマスクにしてあげるのが一般的です

ガムテや包帯テープでつけると粘着力が強すぎて
ビスクの表面がはがれることがあるので注意です

ただしまつげのある人形の場合は まつげが摩擦で抜けてしまうので
まつげにふれないよう ピノの容器や卵パックを改造して目にはりつけ
ゴーグルにしてあげるといいです

その上からぐるぐるまきにしますが セロテープやガムテープでは
何がどうなっているのかわからず ほどきにくいので
個人的には 絶縁テープでとめてもらえるのがありがたいです
マステははがれるので注意

梱包の仕方は、紙おむつの場合は
頭におむつを重ねておむつテープでとめるのを3枚ぐらい
その上からさらにプチプチシートでまきます
ウィッグは外した状態です
ウィッグは手元に残しておけば良いです

ボディの梱包
小さい人形ならミイラのように 気を付けをさせた状態で
プチプチでぐるぐるにします
コンポの手など こわれやすい部分は
手袋のように 小さなプチプチシートを先に巻いておきます

大きい人形は 海外からの荷物では
甕棺状態で 座らせた状態が一般的です
箱の大きさにもよりますが 体をくの字形にし
この場合は全体を大きなシートでくるみますから
包みは三角形になります

箱の梱包
大きい人形では難しいですが 安全策をとる場合は
ダブルボックスが一般的です
まず小さな箱の内側にプチプチシートをしき
エアクッションや発泡スチロールのパッキング材などを薄く入れて
人形を入れ、さらにパッキング材などをつめ
プチプチシートで覆ってふたをします

この箱を 同じようにした大きな箱の中に埋めます
日本国内の輸送なら そこまでする必要はないとは思いますが…
(海外では飛行機の上からぶん投げたり
ユンボの爪で箱をぐっさり…という感じなので
02:07  |  修理(ヘッド)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑
2020.06.16(Tue)

窯傷とヘアラインのちがい

ビスクドールのヘッドのダメージとして
よく聞くのが「ヘアライン」と「窯傷」です
日本語ではどちらも「ひび」になってしまうこの2つですが
じつは別々のものなのです
以前にも似た記事を書いていますが あらためて

ヘアライン
ビスクヘッドに入った 後天的なひびです
古いひびだと 細い一本の線のように見えます
新しいひびだと見えませんが UVライト
(百均にある 探偵ライト)を当てると
線の部分がうっすらと白く光って見えます

そのままにしておくと ゴムの力で
ひびが広がって割れてしまいます
そのため石膏テープなどで補強します

補強したからといって安心ではないので
なるべく力が加わらないよう 首のゴムをとめる
ネックボタンの部分にフェルトや革をかませて緩衝材にします

完全に割れてしまったものは ヘアラインではなく
クラックとよびます
たとえば割れたヘッドを貼り合わせた補修では
貼り合わせた継ぎ目をヘアラインとは呼びません

ヘッドリムにできたクラックのV字の部分から
下に伸びたり 首の穴の欠けから
上にのびて目でとまる というのもあります

古いヘアラインは ハイターやカビキラーを
綿棒につけ 脱色して目立たなくできることがあります
目の石膏 ジャーマンのまつげ
焼きつけられていないピンクビスクの顔には
つかないように注意してください

窯傷
文字どおりビスクが窯で焼かれていたときにできた
先天的なひびです
窯の木炭が入り込んで 黒っぽいことが多いです
ヘアラインに比べて太く 肉眼ではっきり見えます
またヘアラインのようにまっすぐな線ではなく
わずかにぎざぎざとした 裂け目のように見えます

焼きしめられているので それ以上広がることはまずありませんが
首の穴にV字に入った窯傷など 力が加わりそうな場合は
補強や緩衝をしたほうがいいでしょう

窯傷は少し細かい細工をした部分にできやすいです
ヘッドリムからもできるし 小鼻にそって入ったり
ピアスホールやアイホールといった 粘土にあけた穴からもできやすく
長さはまちまちです

窯傷にはそのほか 火ぶくれも含まれます
ビスクの中に気泡ができたまま固まったもので
ぽつんとニキビのようだったり それがはじけて
凹みになっているものもあります
23:20  |  修理(ヘッド)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑
2014.09.04(Thu)

ショートウィッグの寝癖取り

0IMG_2738.jpg
毛量の多い ショートのモヘアウィッグ
古いものは固まって モヘアが全部外向きになって
カッパのお皿みたいになっていました

このままでは可愛くないので 寝癖とりをしました
霧吹きでモヘア全体に水をふきかけます
裏側からも忘れずに

次に歯ブラシで全体をとかし 水分を全体になじませたら
ウィッグが入っていた網袋をかぶせます
こういうときのために ウィッグを買ったら網袋は
だいじにとっておきましょう

今回はモヘアが短くて 網のすきまから逃げてくるので
二重にかぶせてあります
扇風機で全面を素早く乾かします

頭の上のまちばりは ウィッグをとめているだけで
網とは関係ありません
どうせボンネットをかぶせるので 針が行方不明にならないよう
金髪なら赤 ブルネットなら白の待ち針を使っています

0IMG_2739.jpg
乾いて網をとりました
このあと 歯ブラシで毛並を整えたら完成です
爆発していた頭が きれいに丸いラインになりました
同じように爆発しやすい ショートのボアウィッグの
寝癖取りにも使えます
10:25  |  修理(ヘッド)  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)  |  EDIT  |  Top↑
2014.04.13(Sun)

失敗したスリープアイの取り出し

修理の中でも特に失敗の可能性が大きい 高難度の修理です
決して自分では行わず 修理を請け負っている専門の業者に委託して下さい
その際には万一の失敗にそなえ 保険をかけておくことをおすすめします

0IMG_2170a.jpg

スリープアイが外れた場合 目を挟む両側の石膏(アイソケット)を
流し直して修理をするのですが 非常に難しいため
失敗して 目が動かなくなっているものがときどきあります

ジュモーのように ガラスの目を石膏で止めてあるだけなら
ヘッドを水に漬けて石膏を溶かしてしまえば 目を取り出せるので
再度つけかえることができます

しかしスリープアイの場合 目とおもりを繋ぐ
ブリッジの部分が 水に溶けやすい練り物なので 水分は厳禁です
またヘッドの中に スリープアイを受けるための
フェルトやコルク オープンマウスの場合は歯や口の中の赤い紙などの
付属物がある場合は 水に漬けるとそれらも取れてしまいます


そこで目の取り出しには 電動ルーターを使います
先端にヤスリをつけ 石膏を少しずつ削って 目を発掘して行きます
少しでもガラスの目やビスクに先端がこすったら 目やヘッドが割れるので
決して自分では行わないで下さい


きわの部分は電動ルーターでは危険なので
ピンバイスにヤスリをつけなおし 手作業で少しずつ削って行きます

0IMG_2169.jpg
手作業での削りに1時間ほどかかりましたが
目もビスクも無事に分離できました

このあとはヘッドの中を キーボード掃除用のエアーで綺麗にして
アイソケットを付け直します

過去記事:アイソケットの修理

13:39  |  修理(ヘッド)  |  トラックバック(0)  |  コメント(2)  |  EDIT  |  Top↑
2013.09.12(Thu)

Vピンを作ろう

0IMG_5140.jpg
小さなスリープアイベビーの首のジョイントには
鋼のVピンを使います
アンティークの物は太さ2ミリほどもある太い針金を曲げています

みくにビスクドールの通販ページの「組立て関係」にある
ナイロンコネクターはとても便利でビスクをいためる心配も無いすぐれものですが
錘が引っかかるため スリープアイドールには使えません
固定アイかペイントアイのドールに使って下さい

Vピンには同じページにある「S字フック」を
切って曲げて使うのが理想ですが
太い針金を切るための金ノコが無い場合は
強度は落ちますが ヘアピンが便利です

薄い板状のものではなく 肉が分厚いタイプを選びます
好きな長さに切るのは ペンチで挟んで何度も曲げて
金属疲労を利用して折ります
その後ペンチでV字に曲げます

切った部分が尖っているのが嫌だったら
速乾ボンドを先につけて クッションを作ります

0IMG_5142.jpg
ヘッドに入れて 錘を動かしてみます
V字のすきまに うまく錘が通ればOK
ヘッドに入れた時に 針金の先が長すぎて
アイソケットの石膏に刺さるようなら
針金を強めに曲げて下にずらします

ペンチを使ったり ヘッドの中に針金を入れて調整したりするので
やや難易度が高めです
失敗するとアイを破損してしまったりするので 自己責任で慎重に

プロの修理に頼みたい場合
プトーさんではスリープアイ関係の修理も受け付けています

なおヘアピンを開いてV字にすると強度が全然無いので
必ずまっすぐの所を曲げてV字を作ります
V字に曲げたピンが合わなかった場合
さらに鋭角に曲げるのは良いですが
鈍角に広げ直すと折れる危険性が高くなります
必ずピンは曲げる一方向で
鋭角すぎて合わなかった場合は
それは捨てて もう一度最初から作り直します

下に引っ張ってもまず引っこ抜けることは無いはずですが
念のためゴムを引くときは
あまりぎゅうぎゅう引っ張らないで下さい
ビスクをいためるもとにもなります
14:47  |  修理(ヘッド)  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑
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