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2017.02.24(Fri)

輪廻

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今回の大丸人形展で購入したのは
コンドウミク先生の「輪廻」シリーズ
陶土でつくられた赤ちゃんです
人形展のツイッターで見て気になっていました

下に敷かれている水苔は
梱包用クッション資材ではなく 作品の一部
この穴に植物の種を植え 水苔を湿らせると
陶土の体が水を吸い 種が芽吹き
やがて根は陶土の体を打ち砕いて 人形が壊れて行く
そこまでの時の経過 崩壊と再生まで その輪廻が
この作品をかたちづくっているそうです

表面の塗装は経年退色し
バラ色に塗られた頬も やがて色あせて行きます
やがて色あせるのですが それがわかっていても
なお 頬はバラ色に塗られているのです
その深さに息をのみました
いずれ死ぬ命でも 今はたしかに生きているのです
いつかはむだになることも 今はむだではないのです

古来 さまざまな芸術家が挑戦したオフィーリアのテーマは
今を盛りの花々が 死の淵へ沈むまでの経過
命の終わりを表現するものです

この赤ちゃんは写真で見た時 オフィーリア的だと思ったのですが
人形展でいざ実物を見ると それとはまったく感じる概念が違いました
赤ちゃんの眠りの表情は浅く 今すぐにでも目覚める準備ができているようです
死にゆく眠りではなく 生まれる前の胎児の眠りに近く感じます

大昔 大学図書館で読んだ東洋文庫のインド哲学の本に
宇宙は黄金の卵から生まれ
今あるこの世界は 孵化する前の黄金の卵の中で
眠る胎児が見ている夢なのだと書いてあったことを
この寝顔をのぞきこんで ふと思い出しました

体にあいた穴は 喪失ではなく
ここから命が芽吹く場所
このがらんどうの体が 植物を守り育てる殻なら
この赤ちゃんはおそらく 種子に近いものなのかもしれません
大地の生命からこぼれた 生命を分けられた小さな胞子のようなもの

赤ちゃんのさらさらした髪の毛は重力に従って流れています
この人形の中に重力が存在していることにも
大地との絆をあらためて強く感じます

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少し角度を変えると 表情も変わります
安らかにあどけなくなったり 気難しくぐずるように眉をひそめたり
それがますます 命の存在を感じさせます

しっかりと鼻の穴が作られていることにも
命の表現を感じます
酸素を吸って二酸化炭素を吐き出す
単なるガス交換ではなく
たしか生物の授業で ミトコンドリアのクエン酸回路だったか
糖を燃やし生命エネルギーATPを作り出す
それを呼吸と呼ぶのだと習いました

両生類的な プリミティブな造形は
生命誕生後 40億年にわたりつらなる
生命の環を感じさせて 神秘的です

などと難しいことは置いておいても
単純に お人形として すごくかわいい

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かわいさのあまり ちゃっかりもう1人…

この手足の先が細くなっていく形のそぎ落としは
発生生物学的でもあり
児童画や埴輪などの原始美術によく見られる造形でもあって
私はそれらがすごく大好きなのですが
かといって本当に省略されてしまったテトラポット体形ではなく
ふともも前部は大腿四頭筋のふくらみに ふっくらと皮下脂肪がついています
このふくらみが どうにもたまらぬ可愛さでした

輪廻シリーズは 実は会場に3体いて
あと一人のうつぶせの子もとても可愛かったのですが
持ち合わせがなく 泣く泣く2人だけのお迎えになりました
クラフトアート作品展のツイッターには
3人並んでいる展示中の姿が掲載されています
とほうもなく可愛いです
23:01  |  わたしのミニチュア玩具箱  |  トラックバック(0)  |  コメント(0)  |  EDIT  |  Top↑

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